本日、初恋の幼なじみと初夜を迎えます。~国際弁護士は滾る熱情で生真面目妻を陥落させる~
 突然マンバン男がモヒカン男の肩をつかんだ。

「おい、お前。なにやってんだよ」

 止めてもらえたことにほっとしたのもつかの間。「ずるいぞ」と口にしたその男は、私の太ももに手を這わせだした。内側をさわさわと撫でながら上がって来る。

「いっ、いや……!」

 あと少しできわどい場所に触れようとした手を、とっさにつかんで阻止した。

「聞いたか? おまえのことは『いやっ』だってさ」

 後ろで下卑た笑い声が聞こえたと思ったら、シュルリと首の後ろのリボンをほどかれる。ビキニから手を離したらきっと一瞬で外れてしまう。両手で押さえたいけれど、太ももにある男の手を離すことはできない。私が動きを止めているのをいいことに、太ももに置いたのと反対側の手で外れかかったビキニの横から侵入して来る。

「やめて……」

 強く叫んだはずが、驚くほど弱々しい声しか出なかった。まぶたに溜まった涙で視界がにじむ。

 もうだめ。誰か……たすけて……。

 つぶやきは声にはならず、頬を伝う涙が水面にぽたりと落ちた。

 そのとき。

「なにをやってる、おまえら」

 突然聞こえてきた男性の低い声に、男たちが弾かれたように振り向く。その隙を見て男の体を片手でめいっぱい突き離した。
< 10 / 154 >

この作品をシェア

pagetop