本日、初恋の幼なじみと初夜を迎えます。~国際弁護士は滾る熱情で生真面目妻を陥落させる~
〝どうしてこんなものが〟
〝いつの間に撮られたの?〟
〝誰がなんの目的で?〟

 頭の中にいくつもの疑問がいっせいに湧いて、言葉が出てこない。目を見開いたままその場に立ちつくす私に、彼が大きく息をつく。

「いったいどうして」

 ハッとした。この写真はまるで結城首席とふたりきりで会っていたみたいじゃないか。実際はさやかさんが戻ってくる直前のはずだ。

「違うの! エントランスではすこしだけふたりで話をしたけれど、部屋では首席の奥さんと――」
「写真はこの人のマンションなのか?」
「あ……それは……そう、だけど」

「そうか」と低い声が聞こえた。

 どうしよう。やましいことはなにもないけれど、お弁当のことをサプライズにしようと黙っていたことが裏目に出た。後ろ暗いことがあったと思われてもおかしくない。私は自分が彼の妻だということを、きちんと理解して行動すべきだったのだ。

 とにかく今はきちんと説明しなければ!

「圭君、これにはちゃんと理由があって――」
「それはあとだ」

 一刀両断するように言葉を遮られ、頭から冷や水を掛けられたようにサッと血の気が下がる。

「問題は、誰がなんの目的でこんな写真を撮って送りつけて来たのかということだ」

 写真が入っていた封筒を手に取り、検分するように表裏を返しながら、温度の低い声で言う。
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