本日、初恋の幼なじみと初夜を迎えます。~国際弁護士は滾る熱情で生真面目妻を陥落させる~
3.あの頃と同じこと、違うこと
「お邪魔しまーす」
ドアを開けて恐る恐る部屋の中に入ると、後ろからクツクツと笑う声がする。
「お邪魔しますって、自分の部屋だろ」
「それはそうなんだけど……」
豪華すぎるこの部屋を自分の場所だと思うには、まだまだ時間が足りなさそうだ。
再びお兄ちゃんと一緒に客室へと戻って来た。ホテル側の好意でグレードアップされた部屋は、眺望抜群のスイートルームだ。
ここなら周りを気にすることなくゆっくりおしゃべりできる。大きなソファセットやテレビが置いてあるリビングにいると、まるで昔に戻ったような気持ちになれそうだ。
お腹に入れるものはカジノを出た後ショッピングモール内にあるスーパーマーケットで購入して来た。滞在中に足りないものがあれば買いに行こうと思って、あらかじめチェックしておいたのだ。
「本当にいいのか?」
中身の詰まった袋をテーブルに置きながらお兄ちゃんが言う。もう何度目かになるその質問に思わず眉根が寄った。
「もちろんよ。さっきから何度も言ってるでしょ? 逆になにがだめなの?」
食事はレストランでしないといけないという決まりはない。