本日、初恋の幼なじみと初夜を迎えます。~国際弁護士は滾る熱情で生真面目妻を陥落させる~
「……っ!」

 一瞬で背中が粟立った。頭の奥に水音がダイレクトに響き、ゾクゾクと背中に痺れが走る。

「やっ……っ」

 片側の膨らみを大きな手で包まれ、甲高い声が飛び出した。やわやわと弾力を愉しむように揉みしだかれ、必死に下唇を噛んで声を殺す。

「声、我慢しなくていいのに」

 小さく首を横に振る。そんなこと言われても無理だ。

「恥ずかしい?」

 今度は縦に振ったらクスリと笑う声がした。 こっちはいっぱいいっぱいだというのに、彼は余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)といったが様子だ。経験の差を見せつけられたような気がして悔しい。
 
 だからといって私には対抗術などない。なんせ経験値ゼロの初心者。できることといえば、真っ赤になっているだろう顔を背けることくらいだ。

 さらりとした大きな手に、あやすように背中を撫でられた。恥ずかしいのに不思議と嫌ではない。
 触れてくるのが彼だからなのか、そうじゃなくてもこんなふうに感じるのかは、私には判別できない。
 ただ、見知らぬ男たちに肌を触れられたときとはまったく違う、ということだけははっきりしていた。

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