本日、初恋の幼なじみと初夜を迎えます。~国際弁護士は滾る熱情で生真面目妻を陥落させる~
4.お弁当とイレギュラー

 結婚式から約ひと月。七月もそろそろ折り返しだ。
 私は都内にある圭吾お兄ちゃん――改め、圭君のマンションに引っ越していた。

 彼のことは『圭君』と呼ぶことにした。いきなり『圭吾』と呼び捨てにするのはハードルが高い。彼も私のことを『(きょう)ちゃん』と呼ぶからちょうどいいと思う。

 広々としたリビングダイニングの向こうにある窓ガラスからは、初夏の朝陽が燦々と降り注いでいる。この低層マンションは、彼が数年前に新築で購入したものだそうだ。 

 明るめのフローリングにダークウッドの家具。革張りのソファーも同じダークブラウンでそろえてあり、全体をナチュラルモダンで統一してある。その中で所どころに置かれた観葉植物が、空間を和らげるのにひと役買っていた。

 結婚準備期間が短かったため、新生活に慣れるまではひとまずここで過ごし、落ち着いたらゆっくりと新居探しをしようということになっているが、私としては今のマンションに不満はない。2LDKに大きめのウォークインクロゼットもついているし、駅近(えきちか)で職場へも実家へも乗り換えなしで行ける。

 平日はお互い仕事で帰りが遅くなることがほとんどのため、通勤は楽な方がいい。
 とりわけ彼の帰りは遅く、昨夜も私が就寝しようかという頃に帰ってきた。私もかなりハードに仕事をこなしている方だと自負していたけれど、どうやら彼の方が上らしい。
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