本日、初恋の幼なじみと初夜を迎えます。~国際弁護士は滾る熱情で生真面目妻を陥落させる~
 そんなにお腹ペコペコになるほど走って来るなんて。疲れているのか元気なのか、いったいどっちなの?
 幼なじみとはいえ、成人する頃にはほとんど交流がなくなっていたので、今の彼のことはまだよくわからない。

「わかったわ。急いで食べられるようにするから、圭君は早く髪を――きゃっ!」

 全部言い終わる前に耳朶(みみたぶ)をパクリと咥えられた。はむはむと食まれる。

「ちょっ! なに、あんっ」

 身をよじるがたくましい腕にがっちりと体を固定され、身動きが取れない。もがいている間にも舌で転がしたり軽く歯を立てたりしながら、彼は私の耳朶をまるで味わうように弄ぶ。

「んんっ、あっ……」

 必死に彼の胸を押し返すが、ビクともしない。そうしているうちに彼の手が怪しげな動きをし始める。

「んっ、だ、だめだって……んんあっ」

 耳の付け根を舐められた途端、ビリビリと強い感覚が全身に走った。背中をのけ反らせながら頭を左右に振るが、きつく吸い上げられたカクンと腰が抜ける。彼の両腕が崩れ落ちる私の体を抱きとめた。

 もう、いったいなんなの……!

 軽く肩で息をつきながら、苦情を言おうと顔を上げた瞬間。

「うわっ!」

 突然ふわりと体が浮き上がり、驚いて彼の首にしがみついた。
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