本日、初恋の幼なじみと初夜を迎えます。~国際弁護士は滾る熱情で生真面目妻を陥落させる~
5.大人の華金デート
「圭君!」
門をくぐったところにいた彼に、思わず声が飛び出した。
「よかった。無事に出会えて」
「え、なんで? 急にどうして……」
「少し前にメッセージ送ったけど、気づかなかったか?」
「え!」
急いで肩から提げているバッグに手を突っ込んでスマートフォンを取り出す。画面を見ると、メッセージアプリからのお知らせがあった。
「ごめんなさい」
セミナー会場を出た後にバッグに放り込んだまま放置していた。庁舎に戻った後は仕事を片づけることに必死でまったく見ていなかった。
「もしかしてセミナーのことでなにか……」
急を要する懸案事項でも発生したのかと心配になる。
「それならきちんと経済局を通して連絡を入れるさ。そうじゃなくて、たまにはこういうのもいいかと思って」
「こういうの?」
小首をかしげると、彼がにこりと微笑む。
「華金デート」
「デっ……!」
「さあ、行こう」
彼はそう言って長い足を踏み出した。
「あ、圭君待って」
つられて歩きだす。
突然発生したイベントへの戸惑いよりも、『華金デート』というワードの威力の方が何倍も大きい。
いったいどこへ連れて行ってくれるんだろう。
魅惑的なお誘いに胸を高鳴らせながら彼の隣に並んだ。