君のブレスが切れるまで―on a rainyday remember love―
 あの子にもう一度会えれば、こんな考えを少しは変えられる? それは答えを見つけられなかった自分に対しての甘えではない? いいえ、甘えだとしても自分の中に在る、生きる理由に嘘はつけなかった。歳を重ねようと、私はあの時のあの子へと甘えたがっているのだ。
 面白みに欠ける荷物を転がしていると、脳裏によぎっていた予感が的中する。
 よく見知った……しかし、少し年月を思わせるシワの増えた男性が私に頭を下げていた。


「お嬢様、お待ちしておりました」
「総一朗、随分早かったのね。伝えていた時刻は一時間も後だというのに、これでは貴方への手土産すら買えないわ」
「土産物を……私などには勿体無い限りでございます」


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