君のブレスが切れるまで―on a rainyday remember love―
「ねぇ、総一朗。私のことを負担に感じているのなら、いつだって離れてくれてもいいのよ。貴方は十二分にやってくれている。辞表を出したとしても、お父様たちも文句は言わないはずよ」
「お嬢様、そのような言葉はお止めください。私は貴女様の執事です。辞めるなどと言うことはありません」


 苦く、黒い液体を啜るとPCに目を向ける。
 きっと、それは本心なのだろう。しかし、私が側にいるだけで彼の精神がすり減るのがわかる。それほどまでにこの眼の力は強大で、自身でも抑制できないデメリット。


「では、私がもし不慮の事故で亡くなったとしたら、その責任として総一朗を解雇とするわ」
「お戯れを……」


 これは本気だ。最も死ぬつもりなどないのだが、もしもの話として、その時は彼を呪縛から解放するべきだろう。彼の性格なら、私がいなくなったとしても仕え続けるかもしれないから。
 スクロールされていく画面の中、一つの情報でピタリと目が止まった。
 更新日は今日、あるリストが上がっている。


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