君のブレスが切れるまで―on a rainyday remember love―
 馬鹿らしいとは思わない。それは現実であるかもしれないし、そうでないかもしれない。ただ、それのおかげで悠々と生活を送れた代わりに、高校生活に支障が出ないとは限らないのだ。
 それが足を引っ張ったという理由。


「っと……」
「うわっと、ごめんなさい!」


 考え事をしていたせいか、避ける間もなく前から走ってきた男の子と軽くぶつかってしまう。少年は私の眼を見た瞬間、ビクリと肩を跳ね上げていた。
 しかし、それを見せないようにするのは、子どもながらの意地か。


「気をつけなさい。それと、ここは中学校よ。小学生が入っていい場所では――」


 ああ、そう。身長や服装を見ても中学生になる子とは思えないが、れっきとした小学校の卒業生らしい。


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