契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
――でもあの瞬間……妙に腹が立ってしまった。
絡みついてくる花蓮にも。嫉妬やショックなんて欠片もなく、慌てふためいて逃げようとする希実にも。
何故興味を持ってほしい相手ほど、欠片も東雲に関心を向けてくれないのか。
全くもっていらない人間はどんどん集まってくるにも拘わらず。
世の理不尽を嘆きたくなっても仕方あるまい。
そこで、少々意地悪をしたくなった。
普段の自分であれば、あんなことをするはずがない。
だがあの日は、どうしても勝手に動く口を止められなかった。正確に言えば、止めたくなかった。
せっかく手に入れたチャンスを逃したくないと、本能的に思ったが故に。
だがあの時はまだ、そこまで明確に行動を起こすつもりはなかったように思う。
あくまでも、悪戯心が半分だった。
百パーセントの本気ではなかった……と断言はできないが、おそらくそうだ。
せっかく可愛いハムスターとお近づきになれたなら、もう少しだけ愛でてみたい。
その上で可能なら、あと僅か親しくなってみたかった。
いつもなら衝動に身を任せるなど愚かな真似をしない東雲であるが、あの日は本当にどうかしていた。
ついつい調子に乗って、気づけば『契約結婚』まで持ちかけていたなんて、今考えても正気の沙汰ではない。
絡みついてくる花蓮にも。嫉妬やショックなんて欠片もなく、慌てふためいて逃げようとする希実にも。
何故興味を持ってほしい相手ほど、欠片も東雲に関心を向けてくれないのか。
全くもっていらない人間はどんどん集まってくるにも拘わらず。
世の理不尽を嘆きたくなっても仕方あるまい。
そこで、少々意地悪をしたくなった。
普段の自分であれば、あんなことをするはずがない。
だがあの日は、どうしても勝手に動く口を止められなかった。正確に言えば、止めたくなかった。
せっかく手に入れたチャンスを逃したくないと、本能的に思ったが故に。
だがあの時はまだ、そこまで明確に行動を起こすつもりはなかったように思う。
あくまでも、悪戯心が半分だった。
百パーセントの本気ではなかった……と断言はできないが、おそらくそうだ。
せっかく可愛いハムスターとお近づきになれたなら、もう少しだけ愛でてみたい。
その上で可能なら、あと僅か親しくなってみたかった。
いつもなら衝動に身を任せるなど愚かな真似をしない東雲であるが、あの日は本当にどうかしていた。
ついつい調子に乗って、気づけば『契約結婚』まで持ちかけていたなんて、今考えても正気の沙汰ではない。