契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
しかし後には引けない。
湯呑を並べたお盆を強く持ち、希実は気合を入れ直した。
「……お、おまたせ……」
居間に戻れば、妙な空気が張り詰めていた。
漲る緊張感やら、浮かれた雰囲気、噛み合わない何かが、家全体を重苦しいものにしている。
平然と普段通りの東雲の方が異質に感じられた。
――どんな胆力しているの……
「ありがとうございます、希実さん。いただきます」
こちらが手渡した湯呑をにこやかに受け取り、彼は優雅に口をつけた。
そんな仕草も神々しくて、ますますこの家での『異質感』が激増する。
既に眼をハートにした母は、口に手を当てて感嘆の息を漏らしていた。
父は、相変わらず魂が抜けた様子で置物状態。
湯呑を並べたお盆を強く持ち、希実は気合を入れ直した。
「……お、おまたせ……」
居間に戻れば、妙な空気が張り詰めていた。
漲る緊張感やら、浮かれた雰囲気、噛み合わない何かが、家全体を重苦しいものにしている。
平然と普段通りの東雲の方が異質に感じられた。
――どんな胆力しているの……
「ありがとうございます、希実さん。いただきます」
こちらが手渡した湯呑をにこやかに受け取り、彼は優雅に口をつけた。
そんな仕草も神々しくて、ますますこの家での『異質感』が激増する。
既に眼をハートにした母は、口に手を当てて感嘆の息を漏らしていた。
父は、相変わらず魂が抜けた様子で置物状態。