契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
「なるほど」
「でも何故突然そんなことを聞くのですか?」

 長年眼鏡をかけ慣れていると、何もない顔を見られるのが気恥ずかしい時もある。
 希実は、ズレてもいない眼鏡をわざとらしく直した。

「希実さんは眼鏡が似合っていますけど、なくても可愛いなと感じたので」
「……っ?」

 破壊力のある台詞に、噎せるかと思った。
 喉奥がキュッと詰まる。
 せっかく治まりかけていた動悸が乱れ、顔が赤らみ、汗が噴き出すのが自分でも分かった。

「じょ、冗談はやめてください」
「冗談ではありません。それに遊び心のあるフレームの眼鏡も似合うんじゃないですか? もし希実さんに興味があれば、今度僕と一緒に選びに行きませんか? コンタクトを選択肢に入れるのもいいですね。一度眼科で相談してみましょう」

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