契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
「彼女は東雲さんの幼馴染で、旧家のお嬢様よ。名前は西泉小百合。私は直接交流がなかったけど……少なくとも貴女よりは釣り合っているわよね。だってほら、昔からお似合いでしょ? 二人ともこの年の頃から尋常でなく美男美女」

 ヒラヒラと写真を振り、希実の注意を存分に惹きつけた彼女は、一度言葉を切った。
 完全に焦らしている。
 希実の反応を楽しむように、ゆっくり写真をしまった。

 ――それじゃ、写真の少年は東雲さん……?

 面影はある。
 というよりも、あれほどの美少年がおいそれと他にいるとは思えなかった。

「どうして二人が結婚しなかったのか、知りたい?」
「それは……色々な事情があったからじゃ……」
「実はね、この何日かこの件を調べていたの。お父様も教えてくれないから苦労したわ。まぁ破談になった縁談だし……両家とも今更探られたくないのは当然よね」

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