塩系男子のステルス溺愛 ~義兄の愛はわかりにくい

 デリケートな話題だから、込み入ったことを聞くのも憚られるが、信頼して打ち明けてくれたのだから、誠意をもってその秘密は守ろうと思う。

「わ、私も昔嫌なことがあって、男の人に触られるのが苦手なの」

 ハルの重大な秘密を聞いたせいか、過去のトラウマを初めて人に告白した。

「そっか、そういう傷は一生残るけど、嫌な男だけじゃないから」
「部長さんに変な気がなかったのはわかってるのに、動揺して嫌な想いさせちゃって」
「まぁでもいきなり女の子に触るのは今の時代NGだからねー、気を付けるきっかけになるでしょ。いいんじゃない。嫌だって気持ちは認めても」

 嫌だという気持ちを似たような傷のある人に理解してもらって、少し気が楽になる。
 それに、たすくからもらったレシートがポケットの中で物凄い存在感を主張している。

 ──もう二度と会わないと思ったのに、まさか同じ大学だったなんて。
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