塩系男子のステルス溺愛 ～義兄の愛はわかりにくい

苛立ち

「なにイライラしてんだよ」

　たすくが休み時間を終え、教室に戻ろうとすると、クラスメイトが声をかけてきた。

「してねーよ」
「うっそ。いつもならふざけて本気なんて出さないじゃん。お前って態度にモロ出るから」

　休み時間になる前、近所に住むクラスメイトから「父親が再婚したってホント？　なんか噂になってたよ。バツ２の女にたぶらかされたって。医者だと変な女が寄ってくるんだろうなぁ」とからかわれたのだ。

　正しくはバツ３だ。隠しておきたい秘密を暴かれ、そんなことは事実無根だと嘘をついた。イライラしたので、そのあとそいつをバスケでコテンパンにやっつけた。

　──親父は騙されている。