塩系男子のステルス溺愛 ~義兄の愛はわかりにくい
「そっか。俺東京行くから、来年から一人で頑張れよ」
さりげなくたすくが言った言葉にショックを受けていない振りをするのが大変だった。たすくの学力ならどこだって受かるだろうからもう確定事項だ。
けれど実際聞いてみると少し寂しい。
──すごいなぁ。私なんて学校のテストすらうまくいかないのに。
もともと勉強は嫌いではないが、要領が悪くて取り組んでいる時間に比べたら結果は全然出ていない。
──いなくなっちゃうのは心細いけど、たすく君が志望大に受かりますように。
来年からは、たすくがいなくなって義父と母の3人暮らしだ。こちらへやってきた時の不安はもうなくて、ただこの平穏な日々が続くと信じていた。