塩系男子のステルス溺愛 ~義兄の愛はわかりにくい
母の恋人の中には、モラハラ男もいたし、ヒモもいた。小学生のひなたにいたずらする犯罪者もいた。そして時には修羅場もあった。もうあんな不安定な日々はまっぴらごめんだった。
たすくの父親は今までで一番優しくて、人としてまともだ。
だから考えすぎだ。今まで色々あったから、過敏になっているだけなのだろう。お金にも住むところにも困らず、義理の娘にも優しくて真摯な伴侶がいるのだから。
「あら。ひなたちゃん」
近所の薬局で薬剤師をしているおばさんに声をかけられた。
「あら、ひなちゃん。お母さん、元気?」
「はい。元気ですけど」
「そう……色々あったから心配で」
「心配?」
「あー、知らないならいいのよ。ちょっと病院でトラブルがあったみたいで」