塩系男子のステルス溺愛 ~義兄の愛はわかりにくい
16歳になるひなたが恋のひとつもしたことがないというのに、再婚して平穏に暮らしている母に不倫疑惑なんて本当ならどうしていいかわからない。
公園のベンチに膝を抱えて、呆然とする。
──前も一方的にお母さんを好きになった男性はいたし、今回もきっとそうだよね。
相手の奥さんが誤解しているだけだ。
翌日、朝から冷たい雨が降りしきっていた。
家に帰ると、仕事中のはずの母親が家にいた。顔色が真っ青だった。
「どうしたの、お母さん」
「少し悩みがあって」
ただごとではない母の様子に、思わず息を呑んだ。どうしよう、聞きたくない。だけどこのまま見過ごしていいわけじゃない。
「誰か……男の人がいるの?」
「……ひなた、信じて。不倫とかじゃないの。そういう関係にはなってない。だけど、好きになってしまったの……」