塩系男子のステルス溺愛 ~義兄の愛はわかりにくい
何時間経っただろう。体の芯まで冷え切って、凍えて死んでしまいそうだ。もうそうなってもいいような、そんな気さえした。そうしたらたすくやお義父さんに軽蔑されなくて済む。
「どーした……ヒナ」
声がして見上げると、たすくが傘を持って立っていた。
「コウシャクにひなたのいそうな場所を聞いたらここに来た。コイツはこういう時は頭がキレるんだよな」
そう言ってたすくはコウシャクの頭を撫でた。犬用の雨ガッパを着たコウシャクもひなたを心配そうに見つめている。
「なにがあった」
いつもより声が優しい。感情が堰を切ったように溢れてきて、また泣けてきた。
「うっ……」