塩系男子のステルス溺愛 ~義兄の愛はわかりにくい
すべては一人で生きるための準備だった。誰かによりかかって生きるしんどさを母を見て実感していたからだ。
大学生活ものんびりはしていられない。自然と気合が入る。
「すみません。教科書をまだ買ってないので見せてもらえますか」
隣の席の人に話しかけられて、見るとものすごいかわいい人がいた。癖毛をショートヘアにして目が大きくてまつ毛が長くて色白で女の子かなと思って、体のラインを見たら男の子だった。
「はい。どうぞ」
と言って真ん中の教科書を滑らせると、男の子はペコリと頭を下げた。
そのあと、授業中に行われた自己紹介で、新山春人(にいやまはると)という名前だと知った。