塩系男子のステルス溺愛 ~義兄の愛はわかりにくい

「たすくー、もう帰るのかよ!」
「あー」
「待って、たすくが帰るなら私も帰る」

 ──今たすくって言った?

 聞き覚えのある声。驚いて声のしたほうを見ると、だるそうなのにどこか優雅な後ろ姿が見えた。小さい頭に長い手足。忘れるはずもない。完全無欠の傲慢な王子様。
 ひなたの人生にささやかな道しるべをくれた人。

「たすく君…………!」
「あ?」

 思わず名前を呼んだひなたをたすくが振り返った。一見冷たそうな無表情な顔も変わらない。ひなたを見て、たすくが固まった。
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