早く素直になればよかった
すると、部活友達である美久(みく)と優乃(ゆうの)がドアを勢いよく開けて入ってきた。
「ほんっと、今日も相変わらず早いね。」
荷物をおろしながら、優乃がやれやれと効果音がつきそうな表情で聞いてくる。
「蓮、見れた?」
美久が優乃とは正反対の目を輝かせてそう聞いてくる。
「見れた!」
「よかったじゃん。」
美久が盛大に抱きついてきて、私も抱きしめ返す。
優乃はその様子を今度はほんとに「やれやれ」と言って見てる。
優乃と美久は中学校に入ってから仲良くなった。部活友達で、こんなに気があってもいいのかというぐらい大好きな友達だ。
もちろん、2人には蓮のことは話しているし、応援もしてくれている。
美久は、ふんわりなごやかな感じの小動物系の子。
優乃はしっかり者で、誰からも頼りにされている存在。
「そういえばさ、ふたりに渡したいものがあるの。」
優乃はすくっと立ち上がって、かばんの中を探り始めた。
私たちも自然に抱き合っていた手を緩める。
優乃が「はい。」と机の上に何かを3つ並べて置いた。
私と美久がすぐに駆け寄ると、そこには透明のラッピングにかかったシルバーのネックレスが置いてあった。
美久がすぐに「かわいー」と隣で声を上げた。
「優乃、これすごいかわいい。」
私もすぐに言う。
「でしょー?お土産だよ。美久と璃海(りみ)好きそうだと思って。それぞれイニシャルが彫ってあるの。」
優乃が得意気に言った後、美久と私にネックレスをくれた。
3人でおそろいの物を持ったのは初めてで、宝物にしようと、心の中でそう誓った。