早く素直になればよかった




すると、部活友達である美久(みく)と優乃(ゆうの)がドアを勢いよく開けて入ってきた。


「ほんっと、今日も相変わらず早いね。」


荷物をおろしながら、優乃がやれやれと効果音がつきそうな表情で聞いてくる。


「蓮、見れた?」


美久が優乃とは正反対の目を輝かせてそう聞いてくる。



「見れた!」



「よかったじゃん。」


美久が盛大に抱きついてきて、私も抱きしめ返す。


優乃はその様子を今度はほんとに「やれやれ」と言って見てる。


優乃と美久は中学校に入ってから仲良くなった。部活友達で、こんなに気があってもいいのかというぐらい大好きな友達だ。


もちろん、2人には蓮のことは話しているし、応援もしてくれている。



美久は、ふんわりなごやかな感じの小動物系の子。



優乃はしっかり者で、誰からも頼りにされている存在。



「そういえばさ、ふたりに渡したいものがあるの。」


優乃はすくっと立ち上がって、かばんの中を探り始めた。


私たちも自然に抱き合っていた手を緩める。



優乃が「はい。」と机の上に何かを3つ並べて置いた。


私と美久がすぐに駆け寄ると、そこには透明のラッピングにかかったシルバーのネックレスが置いてあった。



美久がすぐに「かわいー」と隣で声を上げた。



「優乃、これすごいかわいい。」


私もすぐに言う。



「でしょー?お土産だよ。美久と璃海(りみ)好きそうだと思って。それぞれイニシャルが彫ってあるの。」


優乃が得意気に言った後、美久と私にネックレスをくれた。



3人でおそろいの物を持ったのは初めてで、宝物にしようと、心の中でそう誓った。
< 2 / 9 >

この作品をシェア

pagetop