前世恋人だった副社長が、甘すぎる
「怜士、秘書なんかに手ぇ出すんだ」
面白そうに笑いながら言う。
「大丈夫大丈夫。僕は貧乏人になんて興味ないから」
あぁ……私はこの人、嫌いだ。こうやって私のことを馬鹿にして。
もし私が前世の私だったら、この人はその肩書きに惚れるのかもしれない。だけどそれは叶わない夢だ。
そして、前世の怜士さんも、周りからこんな目で見られていたということを思い知る。
『マルクは本当にクリスチーヌ様を手に入れようとしているのか?』
『身分違いにもほどがある』
私の知らないところで、きっとすごく苦しんでいたのだろう。