前世恋人だった副社長が、甘すぎる
胸を痛める私の耳に、
「今の言葉、撤回してもらおう」
怜士さんの相変わらず冷たい声が聞こえてきた。
いつもの外向きの冷たい声よりも、さらにもう二トーンくらい冷たい。
だけどその言葉に救われたのも事実だった。
「穂花はどんなに貧乏でも、俺にとっては唯一無二のお嬢様だ」
恥ずかしげもなく、よくこんなことを言えると人々は思うだろう。
だけど私は、その言葉に涙が出そうになる。
「俺のお嬢様を侮辱する奴は、どんな奴でも許さない」