前世恋人だった副社長が、甘すぎる
「その話ですが、穂花さんは本当に、どこかの企業の令嬢ではないのですか?」
「……え?」
「だって貴女には気品があるし、食事のマナーも素晴らしい。
まるで、どこか遠い国のお嬢様を見ているようだ」
さすが川原専務となると、目の付け所が違うのだろう。私の正体を容易く見破ってしまうなんて。
確かに私は前世を思い出し、前世のように振る舞っていた。
それはもちろん、怜士さんの顔に泥を塗るわけにはいかないからだ。
そして、川原さんに正解です、だなんて言えるはずもない。