前世恋人だった副社長が、甘すぎる
怜士さんを見た。
相変わらず素っ気なさはあるが、少しだけ笑顔で男性と話している怜士さん。
きっと、心の中はまだ凍っているだろうが……怜士さんは確実に前進していると思う。少なくとも今の怜士さんは、氷の副社長とまではいかない表情だから。
ニヤついている私を、
「さあ、穂花さん」
川原さんが呼ぶ。
「ピアノ演奏が終わりました。
もしよろしかったら、バイオリンなど弾けませんか?
ここで僕と余興をして、会場を盛り上げましょう」