前世恋人だった副社長が、甘すぎる


ぎゅっと息が止まりそうなほどきつく抱きしめられ、耳元で甘く、だけど激しく囁かれる。


「行くなよ」

「……え?」

「他の男のところになんて、行くな」



ちょっと待って。

私は別に、川原さんに気があるわけではない。

ただ、ホストとしてゲストに余興をしただけだ。

ゲストである川原さんにも喜んでいただけたし……


「あんなに美しくて尊い穂花を、誰にも見られたくない。

俺だけのガラスケースに入れて、鍵をかけて閉じ込めてしまいたい」


恥ずかしげもなく放たれる、そのストレートな言葉に胸が熱い。

胸だけでなく、身体も、アタマも……



見上げると、顔を紅潮させている、泣いてしまいそうな怜士さんと視線がぶつかる。



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