前世恋人だった副社長が、甘すぎる
手配していたハイヤーで自宅に帰る。
怜士さんは始終口を噤んで物思いに耽るから、必死で私が話しかける。
「今日の料理、とても美味しかったですね!
私、あんなにも美味しいステーキ、食べたことがありません」
「さすがの黒崎ホテルは違いますね!」
「あっ、あの夜景も素敵でした!
今度プライベートで怜士さんとも行ってみたいなぁ!!」
私の空元気が続くなか、ハイヤーは聳え立つ億ションの前に辿り着く。
タクシーチケットを運転手に渡し、開かれた扉から降りる。そして、口数の少ない怜士さんに身を寄せた。
もちろん、運転手に礼を言うことも忘れずに。