前世恋人だった副社長が、甘すぎる
煌びやかなエントランスに入っても、豪華なエレベーターに乗っても怜士さんは始終だんまりを決めているから、いよいよ私も不安になってくる。
だから怜士さんに身を寄せたまま、とうとう告げた。
「ごめんなさい」
と。
「ごめんなさい。
私、裏方に徹するつもりが、目立ってしまって……」
怜士さんは黙って部屋の扉を開けた。
ほんのり香る、大好きなその香り。電気が消されたままのリビングの大きな窓には、東京の煌びやかな夜景が浮かんでいる。
この幻想的なリビングで……怜士さんは不意に私を抱きしめる。
そして、おもむろに唇を重ねた。