前世恋人だった副社長が、甘すぎる
「分かっています」
私の声は、微かに震えていた。
「私は、怜士さんだけのものです」
再び重ねられる唇。
先程よりも、少しだけ優しいキス。
だけど、怜士さんの存在を刻ませるような、深い深いキス。
触れ合う舌先が熱く溶け、遠く離れた下腹部までもがじんじんする。
それを知っているのか、怜士さんの手はそっとドレスを捲り上げる。
熱くて大きな手が太ももに触れ、それだけで声が漏れてしまいそうになる。
身体からは力が抜け、いつの間にか怜士さんが支えてくれている。
はやく、はやく怜士さんのものになりたい。
その甘い身体で満たして欲しい。
だけど……何だか嫌な予感がする。
「ちょ、ちょっと待ってください」
私は怜士さんを押し退け、大慌てでトイレに駆け込む。
すると下着には、ほんのうっすら血がついているのが見えた。
こんな時に最悪だ……