前世恋人だった副社長が、甘すぎる
黒崎怜士は静かにペンを戻し、私を見る。
私を見る瞳は、さっきと同じように甘くて熱い。
その瞳が絡まると、胸の奥がぐぐっと熱を持つ。
忘れていた感情がふつふつと湧き起こる。
「ありがとうございました」
客室を検索するのも忘れ、吸い込まれてしまいそうな瞳を見つめる。
黒崎怜士は甘い瞳で私を見たまま、また柔らかな笑みを浮かべる。
「お名前は?」
初めて聞く低いその声。
だが、どこかで聞いたような懐かしささえ感じる。
「き、菊川穂花と申します」