前世恋人だった副社長が、甘すぎる
熱いラーメンを食べると、今さらながらどっと頭にアルコールが回ってきた。
お金を払って店を出ると、足がふらついて倒れそうになった。
こんな私をそっと支えてくれる怜士さん。そして、甘い声で告げる。
「飲み過ぎだ、穂花は」
胸がきゅんと音を立てたのは言うまでもない。
「大丈夫です」
そう言って平静を装うが、アルコールと怜士さんのせいで頭がくらくらする。
こんな私の前に怜士さんはしゃがみ込み、
「乗りなよ」
背中を差し出す。
「……え?」
「ほら、おぶってやる」
その広い背中に腕を回す。そして、怜士さんの髪に顔を埋めた。
大好きな怜士さんの香りが鼻腔を刺激する。
頬がにやけ、身体が熱くなる。
そして、私のパンプスが怜士さんのスーツを汚してしまうことを、ひどく申し訳なく思った。