前世恋人だった副社長が、甘すぎる
震えながらキーボードに名前を打ち込むが、指が震えすぎて上手く文字が打てない。
何回か打ち直し、ようやく客室を検索することが出来た。
そして黒崎怜士はなんと、客室なんて予約していないではないか。
……当然だ、副社長は視察に来ただけだから。
私はマニュアルに従って、平静を装って告げる。
「申し訳ございません。
現在、黒崎様の予約は入っていないことになっております。
システムのトラブルの可能性もあります。
至急、使える部屋をご用意させていただきます」
だけどその声は、酷く震えていた。