前世恋人だった副社長が、甘すぎる
「俺は、穂花が好きだから。
俺には穂花しかいないから。信じて……?」
「今さら何を言ってるんですか?」
笑顔で答えながらも、不吉な予感がする。
だって目の前の怜士さんは、クリスチーヌと引き裂かれたマルクのような、酷く怯えた目をしているから。
「私にも、怜士さんしかいないです」
そう告げると、甘く優しいキスをくれる。
とろけてしまいそうで、頭が真っ白になってしまいそうなキス。身体の奥が熱く熱を持つ。
「無理矢理にでも、抱いてしまえば良かったかもしれない。
穂花の身体に、俺のものだと印を付けておけば良かったかもしれない」
それにしても、どうしてそんなことを言うのだろう。
私はもう、逃げたり隠れたりするつもりはないのに。