前世恋人だった副社長が、甘すぎる
「……で、どうなってるんだ?」
「付き合ってはなさそうです、多分。
だって穂花、今日も暗い顔していたから」
その後、泉さんは俺を鼻で笑った。
「もう!怜士さん、本当に穂花が好きなんだからぁ」
「うるさいな」
なんて言いながらも、本当に穂花が好きなんだと思い知る。
こうやって話している今も、穂花のことが気になって仕方がない。
電話先の泉さんはなおも楽しそうに告げる。
「決戦は今日ですよね?バッチリ準備しておくから!」
「泉さん、ありがとう」
礼を言うと、
「もう、怜士さんってば水臭いなあ。
この作戦が成功したら、私も昇格させてくださいね?」
泉さんが笑った。
だからああと賛同する。
「幹部にしようか。
今や俺を恐れないのは、穂花と泉さんくらいだから」
「それはやりすぎです!
じゃあ頑張ってね、副社長!」
泉さんはいつものテンションで電話を切った。
こんな泉さんに、俺は深く深く感謝している。