前世恋人だった副社長が、甘すぎる


まず、小川に変な気を持たせないことだ。

俺は小川に興味がないという態度を、一貫して取り続けた。

だが小川はしぶとくて、付け入る隙もない俺の側で待ち続けている。

小川は根っからのお嬢様なのだろう、仕事なんてやる訳もなく、いつも田川が持ってきたお茶やお菓子やらを食べていた。

だから田川に、もう持ってくるなと怒った。



次にしたことは、敢えて社員にパワハラ的態度を取り続けたことだ。

俺の態度を軟化させることを穂花が望んだため、穂花が来てからは随分お手柔らかに社員に接していた。

だが、今は前のように何の慈悲もなく接している。

俺はもとから社員に興味がない。ただ、優しくしていたのも穂花のおかげだと思い知らせた。

事実、また俺の評判は下がっているらしい、してやったりだ。

そして今日、俺は小川と穂花の働くホテルにディナーを食べに行く。

穂花は初めはきっと悲しむが……分かってくれることを信じている。



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