前世恋人だった副社長が、甘すぎる
それから……
繁忙日のこの日に、私は全く仕事に身が入らなかった。
呆然とする私に、先輩や後輩が言う。
「ふっ、副社長の秘書だなんて、一番キツイ仕事ですよね。ご愁傷様です」
「そうそう、副社長の秘書なんかになったら、精神病みそう」
いや、もうすでに病んでいるかもしれないが。
だけど、今日会った副社長は、この人たちが言う副社長とイメージが全然違う。
演技して、私を陥れようとしているのだろうか。
そうだ、きっと演技なんだろう。
今の私はか弱いお嬢様でもないんだから、氷の副社長なんかに負けないから!