前世恋人だった副社長が、甘すぎる
2.そもそも、どうして秘書にしたのか
私は副社長の前で大失態を犯したのに、なぜか副社長の秘書になってしまった。
昨日いきなりの辞令で、今日から副社長室の勤務となってしまった私。
着慣れたホテルの制服ではなく、持っていた地味なスーツに身を包んだ。
そして、都心に聳え立つビルを見上げる。
黒崎ホテルグループの本社は、このビルの最上階にある。
もちろんこのビルも黒崎ホテルグループの持ち物で、低層階は庶民的な飲食店、中層階はオフィス、上層階は高級飲食店と黒崎ホテルグループの事務所となっている。
副社長は私には甘くて優しかったが、噂で聞く副社長は悪魔だ。
これから、私にどんな仕打ちをするのだろう。
そんな悪い思いだけが頭の中を駆け巡っていた。