前世恋人だった副社長が、甘すぎる
約一時間後……
怜士さんに身も心も愛された私は、彼と寄り添ってベッドに寝そべっている。
怜士さんの腕は私を逃さないと言わんばかりに、私の身体をぎゅっと抱きしめて離れない。
だから諦めた私も、その胸に頬を付けた。
ドクドク言っていた心臓も、ようやく落ち着いてきたようだ。
そしてようやく落ち着いてきた私は、怜士さんに告げる。
「そういえば怜士さん、ピアノすごくお上手でした」
すると彼はあからさまに顔を染め、照れたようにそっぽを向く。
恥ずかしいんだ、可愛いな。なんて気持ちが湧き起こる。
「穂花に言われたくないよ」
低く甘い声で彼は告げる。
「ずっと穂花を両親に認めさせるためにはどうすればいいか考えていた。
それで何気なく履歴書を見たら、特技の欄に『ピアノ コンクール優勝3回』と書いてあった。
バイオリンじゃなくて、ピアノなんだと」
彼はそっと私の髪を撫でながら教えてくれた。