前世恋人だった副社長が、甘すぎる
「そのコンクールの映像が動画サイトにあったから、見たんだ。でも、見ないほうが良かった。
だって、俺が太刀打ち出来るレベルじゃないから」
「な、何を言ってるんですか!?」
慌てて言い放つ。
怜士さんは上手だったし、むしろミスを連発したのは私のほうだ。
「でも、これしかないと思った。
すごいインパクトを与えたら、両親もぐらつくだろうと……
それで俺、毎日死ぬほど練習して……」
怜士さんが手を上げる。
するとそこには、信じられないほど腫れて傷と痣だらけの指があった。
川原さんにも勝ったような怜士さんが、ここまで必死に練習してくれていたなんて。