前世恋人だった副社長が、甘すぎる
そんななか、ベッドサイドの電話が鳴った。
怜士さんははじめ無視を決め込もうとしたが、鳴り止まない電話にため息をつき、とうとう受話器を持ち上げた。
「はい……」
掠れた朝一番の声は、なんだか色っぽくて昨夜のことを思い出してしまう。
だけど怜士さんは、今はそんな気はないのだろう。
「はい……うぜー……分かった」
面倒そうにそう言う怜士さんを、驚いたように見る。
いつも通りの淡白な会話だったが、間に挟まれた「うぜー」が妙に引っかかる。
怜士さん、うぜーとか言うんだと、正直戸惑いを隠せない。
きっと、私の知らない怜士さんの一面がまだまだたくさんあるのだろう。