前世恋人だった副社長が、甘すぎる
両親と別れ、チェックアウトをする。
昨日まで私が立っていたフロントには、見慣れた先輩後輩がいて、
「聞いたよ!副社長と結婚するんだって!」
その噂はもう皆の知るところとなっていた。
一体、どこからそんな噂が広まったのだろうか。
「菊川さん、本当に大丈夫?」
先輩は言いにくそうに、怜士さんをちらりと見て私に告げる。それでも怜士さんがかっこいいから、頬を染めて。
きっと、パワハラ副社長と結婚すれば、召使いのように扱われるとでも思っているのだろう。
「大丈夫です」
笑顔で先輩に告げる。
「私、すごく幸せですから」