前世恋人だった副社長が、甘すぎる
「えっ!?今の、副社長だった?」
「どうしたんだろう、女連れて」
「副社長の新しい秘書らしいよ」
「それは気の毒な……」
そんな声すら聞こえてきた。
どうやら、私が副社長の新しい秘書という事実は、すでに社員たちの知るところとなっているらしい。
おまけに、どうやら私の立場は気の毒らしい。
その様子からも、副社長は本当に氷の副社長なのだと思い知る。
だけど……私に対する副社長は、少なくとも氷ではなかった。温かくて燦々と降り注ぐ、太陽の光のような……
いや、こういう考えすら妄言なのかもしれない。
なにせ、氷の副社長だ。仕事が始まった瞬間、悪魔に変身するのかもしれない。
そんなことばかり考えていた。