前世恋人だった副社長が、甘すぎる
さっと立ち上がり、デスクへと駆け寄る。
そして、
「はい、副社長室秘書の菊川でございます」
ドキドキしながら電話を取った。
どんな電話なんだろう。
副社長の前で、また変な失態を犯してしまったらどうしよう。
そんなことを考えている私の耳に、聞き慣れたフランス語が聞こえてきた。
フランス語をなぜか日本語のように理解出来る私は、そのままフランス語で話す。
そして、
「副社長、黒崎ホテルフランス支局長から、今週末のWEB会議についてのお電話です」
副社長に取りついた。
いつの間にか私の隣にいた副社長は、
「ありがとう」
そっと私の頭を撫でる。そして電話を耳に当てた。