前世恋人だった副社長が、甘すぎる


私には甘々の副社長だが、社員からは恐れられている。

私にとって、その事実は辛いのだ。

前世のマルクはいつもにこにこしていて優しくて、私以外の人からも好かれていた。

そこがあまりにも違うのだ。



私の言葉に、田川さんは驚いたような顔をした。

そして、ありがとうございますだなんて頭を下げる。

私は田川さんに礼を言われる筋合いはないし、今の理不尽すぎる待遇も申し訳なく思う。

だからこそ、副社長にはもっと柔らかくなって欲しい。

私みたいな者がぽんと秘書になったものだから、社員の不満はますます大きくなるだろう。そう思わずにはいられなかった。

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