前世恋人だった副社長が、甘すぎる
「菊川さんには申し訳ないのですが、副社長の相手を菊川さんにしていただけたら、私たちはとても助かります。
今朝から社員たちの間はその話でもちっきりです」
「そうですか……」
もう何も言えない私は、すみませんと心の中で謝るしかなかった。人々は明らかに特別対応の私を妬むより、ありがたく思っているなんて。
それほどまでに副社長に苦しめられている社員が、少しでも楽しく仕事が出来るようになればと思う。
でも、副社長の気が変わって、私にも冷たく当たり出したら……そんなことは考えたくないし、そうなったら辞めてやろうとも思った。