前世恋人だった副社長が、甘すぎる
3.蜘蛛の巣のように張り巡らされた甘い罠
副社長は数時間で帰ってきた。
扉を開いた瞬間は冷めた顔をしていたのに、
「お帰りなさいませ」
頭を下げた私を見た瞬間、凍っていた顔に光が射す。
そして、それは一気に温度を高め、頬を紅潮させる。
「穂花!」
嬉しそうに私に歩み寄り、ぎゅっと抱きしめるかのように手を伸ばす。
そんな腕の中にもちろん私は飛び込まず、
「副社長、5件電話がありました。
そのうち3件はまた改めてかけていただけるとのことです。
1件はセールスなので、丁重にお断りいたしました。
黒崎ホテル仙台からは、ゴールデンウィークの宿泊プランについて、副社長の最終判断をいただきたいとのことです」
事務的に伝えた。