前世恋人だった副社長が、甘すぎる




副社長室を出ると、やっぱり社員たちは噂をしていた。

そして、廊下を歩く副社長と私を見ると、わざとらしく見ないふりをして仕事を始める。

遠くに田川さんが見えた。

副社長の近くにいない田川さんは、朝会ったときよりもずっとイキイキしているように見えた。




エレベーターの中でも、途中から乗ってきた社員にビクッとした顔をされた。

そして彼らは一礼し、何も見なかったように背を向ける。

そんな様子を見ながらも、胸がズキっと痛むのだった。

< 53 / 258 >

この作品をシェア

pagetop