前世恋人だった副社長が、甘すぎる
副社長の車は、地下の駐車場に停めてあった。
そして、どれが副社長の車なのかはすぐに分かった。
駐車場の一番奥に、おそらく幹部の車が停めてあるであろう場所があった。
そこだけ高級車がピカピカと光り輝いていた。
その奥から二番目に、副社長の銀色の車があった。
このエンブレムを見たことがある。……ポルシェだ!
分かっているが、世界が違う人だと再確認した。
副社長はわざわざ助手席側に回り、扉を開いてくれる。
私が副社長の侍者なのに、この待遇は何だろう。
だけどにこにこ笑って扉を開いてくれる副社長の好意を無駄には出来ず、
「お邪魔します……」
遠慮がちに助手席に腰を下ろした。